【特別インタビュー】森 大祐シェフ × 岡崎 正輝シェフ – 波刃モンスター|株式会社サンクラフト

【特別インタビュー】森 大祐シェフ × 岡崎 正輝シェフ

製菓道具に求めること

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特別インタビュー EN VEDETTE 森 大祐シェフ × コンラッド東京 岡崎 正輝シェフ

数々のコンクールでの輝かしい受賞歴を持ち、日本を代表するのパティスリーシェフのお二人へインタビュー!

かつて、グランドハイアット東京にて同僚だったこともある森シェフと岡崎シェフ。現在、森シェフは店舗オーナーとして、岡崎シェフはコンラッド東京のエグゼクティヴ ペストリーシェフとして、それぞれの環境で沢山の人々を魅了するケーキを次々と生み出しています。
お二人は現在でも親交がとても深く、森シェフのインタビューの収録が行われると聞くと「撮影の様子を見てみたい!」と岡崎シェフが飛び入り参加するほど。

シェフズモアロングシリコーンヘラを試作段階からお使いいただいているお二人。
無事に商品発売を迎えるにあたり、改めてロングシリコーンヘラの使用感について伺いました。

インタビュー/2025年1月

contents

一体型で衛生的、耐久性が高い安心して使えるシリコンヘラ
使い勝手の良さ、実用性だけでなく道具に求められること
5年使い続けてもまだ切れる、まさに「モンスター」級の波刃モンスター
サンクラフトは「かゆい所に手が届く」製品を生み出すメーカーであってほしい
新たな道具と共に、改善やチャレンジを続けていく
プロフィール

一体型で衛生的、耐久性が高い安心して使えるシリコンヘラ

シェフズモアロングシリコーンヘラを使った第一印象を教えてください



一体型で衛生的なのがいい。
衛生面に関しては、商売をする上では1番気になる部分ですからね。
今まで使っていたものはハンドルとヘッドが別タイプだったので、どうしてもヘッドが外れてしまって、衛生面が気になっていました。従来のものは、ゴムの耐久性が低いのか割れやすかったり、欠けたりすることが多かったけれど、サンクラフトのヘラは全然欠けずに使い続けている。1番大事な衛生面での安心に繋がってるかなと思います。

岡崎
ハンドルの太さが、すごく持ちやすいというのが第1印象です。
今まで使っていたヘラだと、少し細いなという印象があったんですけど。サンクラフトのヘラは、全体がシリコンなので、かなり持ちやすいし滑りづらく、すごく使いやすい。

使い勝手の良さ、実用性だけでなく道具に求められること

今まで使っていたヘラと比べて、耐久性など差が出ている部分はありますか?

岡崎
はっきりと比べたことはないですが、今までのヘラは半年に1回は変えてるか、1年持つか持たないかぐらいかなと思うんです。


そうそう。

岡崎
使う用途にもよるとは思いますが。僕の場合は、キャラメルもゴムベラで調理するので、耐熱性に関してはサンクラフトの方がいいなと思います。森シェフが言われたように、一体型で衛生的なのはいいですね。今までのものは、外れたところがしっかり洗えないので、一体型であるのは重要なところかなと思います。
温度が高い調理だと、ゴムが劣化してしまったり変色したりというのは結構ありますよね。
サンクラフトのヘラは、耐久面で考えた時に洗浄機に何回入れてもそのまま使えますし、グリップ力って言うんですか、そういうのも全然変わらないのですごくいいかなと思いますね。


まあでも、ゴムベラは全てのメニューで使えますから。あらゆる面で1番使うもので、使用頻度の高い道具だと思います。そういう意味でも本当に耐久性とかその衛生的なところって1番気にしなきゃいけない道具かなとは思いますよね。

岡崎
ヘラの先端の硬さが、ムースやガナッシュを調理する際に取りやすい。実際に使わないと分からない部分だと思いますが、綺麗に最後まで取れますね。

道具を選ぶ際に1番気になる部分は衛生面ですか?


1番…。使いやすさと衛生面の両方(笑)

岡崎
そうだね。


使いやすさと衛生面のどちらかに偏ってても、意外と選ばないパターンもありますよね。
すごく衛生面が優れてても、すごく使いづらい道具はやっぱり迷います。そういう意味では、これは両方兼ね揃えられてるのでいいと思います。

試作の際に「黒い色がいい」という話がありましたが、やはり色は重要ですか?

岡崎
ホテルのレストランだとオープンキッチンがあります。ゲストの方が通った時に目触れるものが、今までのヘラだと業務用すぎるというかちょっと格好悪い。
最近、手袋でも黒いものがあったりするので、黒だと統一感があって良いかなと思います。コックコートも黒とか白とかなので、このモノトーン感がやっぱりいいかなと思いますね。


万が一、製造中にヘラが欠けても道具に色が入っているとすぐ見つけやすい。そういう意味でも黒はいい色だと思います。

飲食の世界では「お客様に見せる」意識が高まっているような気がしますが、普段使う道具にも感じますか?


そりゃ、かっこいい方がいいです。

岡崎
かっこいい方がいいよね。
それに統一感があった方がいいのかなと思います。レストランや最近のオープンキッチンもそうですが、モノトーンな内装が多かったりするので、そこに違う色のものっていうよりは、黒とか白で統一感が出る方が、トータルコーディネートとしていいんじゃないかなと思います。

レストランやホテルなどの業務の現場で使われるステンレス製品とも馴染みやすい黒色のシリコーンヘラ

5年使い続けてもまだ切れる、まさに「モンスター」級の波刃モンスター

2020年の発売以来、森シェフには波刃モンスターを長くご愛用いただいています。看板商品であるリーヴルクーヘンのカットでは波刃モンスター45cmを使ってくださり、今では毎日のカットを担うナイフのひとつだと言います。前回の撮影は5年前(2020年1月)。改めて波刃モンスターの感想を伺いました。(インタビュー収録2025年1月)

2020年の発売から5年たった波刃モンスターについて、使い心地はいかがですか?


あの時の試作品をまだ使ってるっていうね。

岡崎
長持ちだね。でもまだ切れるんでしょ?


切れる。

岡崎
それはすごいよね。まさにモンスター(笑)
1番最初に発売された刃渡り45cmは、ちょうどフレンチ天板の短辺が切れるよね。
実際に使ってみて、軽いしね。いいよね、こんな長い刃渡りのナイフはないし。

フレンチ天板で焼かれた生地も一気にカットできる刃渡り45cm


そうそう。これはいい。

岡崎
今までのナイフは波刃の幅がちょっと広いから、一発ナイフを入れるとバリバリって割れちゃうことがあるけれど、波刃モンスターは波刃が細かいから、すごく切りやすい。


クラムが出づらいしね。

岡崎
そうそう。それはいいよね。


うん、めちゃくちゃいい。

岡崎
あと思ったのが、36cmと28cmはこの先端の直線がよく切れる。カットの際にナイフの先端で引いて切れるので、先端部分に関してはいいのかなって思いますね。

刃渡り28cmと36cmの波刃モンスターは先端にストレート刃がある

岡崎
パイなんかを切る時に、天板みたいな取り板の上で切ることが多いんです。その際に、天板がそっていると綺麗にナイフを落としても生地の下が切れてないことがあります。自分では切れたと思ってもね、パイを取ると下が切れてなくてバリバリって割れてしまう部分がある。
それが波刃モンスターだとナイフを引いた時に、先端部分を使って切れるので、すごい便利で楽というか、切り損じがない。36cmと28cmは、すごくやりやすい。結構考えてるなって思います。そこは本当に切りやすいです。

サンクラフトは「かゆい所に手が届く」製品を生み出すメーカーであってほしい

サンクラフトは、刃物のまち岐阜県関市で包丁・ナイフや調理道具を作るプロとして製品を作っています。そんな中、Chef’s MORE(シェフズモア)は、シェフの声を反映した製品をお届けしたいという想いを込めて名前をつけました。

第一弾としてロングシリコーンヘラを製品化しましたが、今後サンクラフトに期待することは何かありますか?


サンクラフトは、かゆいところに届く商品をつくるっていうイメージがついてきてると思うんです。
ありそうでないものを、どんどんこれからも生んでってもらいたいなってのはやっぱありますね。
道具って、今まで使ってたきたゴムベラもそうなんですけど、何十年も同じものをずっと使ってる。ということは、それだけ商品開発ができてないっていうことですよね。
何だかんだ慣れてるだけで、実際は「もうちょっとこういう風になってた方がいいな」という道具は思い出せればいっぱいあると思うんです。
そういう意味では、そういう部分に手が届く道具を作っていただいてるので、そういうのがどんどん増えていくともっと良くなるんじゃないかなと思います。

岡崎
そうだよね。もう慣れてるもんね。
20年以上ずっとシェフをやってきて、やっぱりその道具に慣れてるし、おかしいとも思わずにそのまま使い続けてる部分がある。凝り固まってるっていうのかな。今までずっとカタログから道具を選んで「これ買います」っていう形だったと思うんですけど。
それがやっぱり「こうしてくれてた方がいいな」とか「こういうのがあった方がいいな」ていうところを、サンクラフトさんが新しくやってくれたら、すごくいいなって思いますね。


若い頃と今の違いって、全部自分の予算で買わなきゃいけないっていう立場の差があります。
若い頃って、使う道具が「いい道具」とは聞いてるけれど、「わざわざお金を払うなら」という目線を持っていないんですよ。そういう意味では、オーナーになると「わざわざ自分でお金を払っても納得のいく道具」っていうのを選びたくなるっていうのもあるかなと思います。
そうなってくると、半年に1回変えなきゃいけないゴムベラを買うぐらいだったらね、2年持つゴムベラを買った方がいいでしょうし、使いやすいか使いづらいかだったら使いやすい方がいい。そういう考えになってくと思うので、そういう意味では痒いところに手が届くってのは、どんどん必要かなと思います。

岡崎
かゆいところが、まだ自分の中でも分かってないからね。
もしかしたらボールとかも、普段何気なく使ってるけれど「こうした方がいい」とか「混ざる時に回る方がいい」とか「滑らない方がいい」とか、「流しやすい持ち手がある方がいい」とか。ちょっとすぐには分からないですけれど、普段の仕事を見直していかなきゃいけないのかな、っていうのはありますけどね。

新たな道具と共に、改善やチャレンジを続けていく

今後の展開について教えていただけますか?


今後の展開ですか?ガンガやりますよ!

岡崎
なにか予定があるんですか?


そうですね。
あくまでも僕たちは、やっぱり手作りなので。生産量に関しては限界というか、とにかく広げればいいってものではないんですけれど。
道具もしかり、効率や今だからこそできる改善っていうものを目指せば、もっとチャレンジの幅はすごく広がるとは思っています。僕はいつでも、チャレンジできる時はしていきます。乞うご期待!

岡崎
森シェフは、すぐチャレンジできる環境だからね。
僕は何か道具を作りたいですね。自分が使いやすい道具とか、いろんなホテルのシェフにヒアリングして使いやすい道具を何か作りたいというか広めたいというか。
グループホテル在籍なので、パティシエだけじゃなくて、洋食とか和食のシェフもいるのでそういうシェフたちにもいろいろ聞いて、新しい道具じゃないですけど。革命って言ったら大げさかもしれないですけれど、昔ながらの道具じゃなくて新しいものを作ってみたいなと思いますね。本当に波刃モンスターが切れすぎるので、例えばこれに対応するまな板も欲しいなと思っていて。


そらない取り板とかね。

岡崎
そうそう。そらない取り板もいいよね。
まな板はやっぱり使うと、傷の中に菌が入っちゃったりするので、そこもうまくやりつつ考えてみたいです。

ぜひ、岡崎シェフ監修で製菓道具を作っていきたいですね

岡崎
そうそう。本当に何か作りたい。

弊社商品が製菓の現場でもお役に立っているようで嬉しい限りです。今後ともかゆいところに手の届くメーカーでありたいと思います。本日は貴重なお時間を頂き、本当にありがとうございました。

profire

EN VEDETTE(アン ヴデット)森 大祐

「ロイスダール」「グランドハイアット東京」で経験を積んだのち、渡仏。パリ「ローラン・デュシェンヌ(M・O・F)」、「モワザン」ではシェフ・パティシエとして活躍。帰国後は「パティスリーサクラ」のオープニングに携わる。
日本洋菓子協会連合会公認技術指導員。1978年、岐阜生まれ。
国内外のコンクールでの受賞歴多数2016年清澄白河に「アン ヴデット」をオープン
2019年渋谷スクランブルスクエア店をオープン
2023年東京ミッドタウン八重洲に新業態「EN VEDETTE LUXE(アン ヴデット リュクス)」をオープン

コンラッド東京 エグゼクティヴ ペストリーシェフ 岡崎 正輝

「リーガロイヤルホテル」「グランドハイアット東京」「アンダーズ 東京」でペストリーシェフとして経験を積みながら、国内外のコンクールで多数の受賞を果たす。20212年国際製菓コンクール「 ル・モンディアル・デ・ザール・シュクレ 」にて優勝。
2017年より「コンラッド東京」勤務。2022年12月より同ホテルのエグゼクティヴ ペストリーシェフに就任。
1979年、広島県生まれ。